計測ネットサービス株式会社

基礎知識 2026.03.24

公共工事での「創意工夫」の重要性とは?具体的な事例&システムを紹介 

     

公共工事での創意工夫の必要性と導入事例と当社システムを紹介します

公共工事・建設現場での創意工夫は、工事成績評定の評価を上げるうえで重要な取り組みです。工事の次回以降の入札を有利にするだけでなく、生産性・安全性の向上や業務効率化を図るために欠かせないものでもあります。

本記事では、公共工事における創意工夫について、その必要性と実施するうえでのポイント・注意点、実施により得られる効果、創意工夫に活用できる当社システムおよび事例を紹介します。

公共工事における創意工夫とは

創意工夫イメージ図02

国土交通省が公開する「地方整備局工事成績評定実施要領」では、創意工夫について以下のように定義されています。


創意工夫は、工事特性のような難度を伴わない工事において、企業の工夫やノウハウにより特筆すべき便益があった場合に評価する項目である。

引用:地方整備局工事成績評定実施要領(国土交通省)工事成績採点表〔完成、一部完成〕
https://www.mlit.go.jp/tec/sekisan/sekou/pdf/130330seisekihyoutei_unyou02.pdf


創意工夫は、企業独自のアイデアや取り組みによって、現場の安全性・品質・業務効率を向上させることを目的としています。

2005年4月の法整備に基づき、 公共工事では価格以外の評価手法で判断する「総合評価落札方式」が導入されました。総合評価落札方式では、過去の工事成績評定の点数が入札に影響を与えます。

創意工夫に取り組むと工事の成績評定で加点対象となり、次回以降の入札を有利にしたり、国や都道府県が行う優良表彰につながる可能性もあります。そのため、多くの建設会社が創意工夫に力を入れている現状があります。

公共工事における創意工夫が重視される背景

創意工夫が重視される背景には、建設業界の深刻な人手不足に伴う業務効率化の課題があります。

国土交通省は2016年度から、建設業の生産性向上を実現する取り組みとして「i-Construction」の推進を開始しました。2024年4月には、建設現場の省人化対策をさらに加速させることを目的とした「i-Construction2.0」も策定されています。

このことからもわかる通り、建設業界では少ない人員で従来と同様の工事品質を担保するために、生産性向上・業務効率化の取り組みが急務となっています。今後は、公共工事へのさらなるICT技術活用や、企業独自の創意工夫による工事の品質改善が重視されると考えられます。

創意工夫の具体的な評価項目

創意工夫で評価される具体的な項目と、その主な内容は次の通りです。

施工施工機械・資材配置・作業効率化につながる取り組みなど、施工に関する独自の工夫
新技術活用NETIS登録技術やICT・ドローンといった新技術を積極的に取り入れているか
品質使用する材料の選定、検査品質の向上、工事後の耐久性を高めるための取り組み
安全衛生作業環境の改善、作業員への安全衛生教育、一般交通の安全確保、環境保全のための取り組みなど

出典:地方整備局工事成績評定実施要領(国土交通省)別紙-1⑧考査項目別運用表
https://www.mlit.go.jp/tec/sekisan/sekou/pdf/130330seisekihyoutei_unyou02.pdf

中でも新技術活用は、加点が大きい項目とされることが多く、NETIS登録技術の導入や品質向上・効率化に寄与する取り組みは高く評価される傾向があります。

過去記事へのリンク:
NETIS(新技術情報提供システム)について概要やメリットを解説


現場で活きる創意工夫を行う際のポイント

創意工夫イメージ図03

建設現場の創意工夫を現場で活きるものとするためには、いくつかのポイントがあります。

最優先事項は現場の安全性

建設現場において最も重要なことは安全性です。作業員が安全に働けることはもちろん、工事中に近隣住民が安心して生活できるよう配慮する必要があります。そのために、普段から作業員の声を聞き、あらかじめ現場に潜む危険なポイントを把握することも有効です。

創意工夫を行う際には、常に「事故を未然に防ぐ対策は十分か、そして作業員や近隣住民の安全を守ることにつながるか」を念頭に置くようにしましょう。

工事のテーマや特性にあわせた創意工夫を行う

工事成績評定の採点者である主任監督員とコミュニケーションをとり、「発注者がその現場で何を懸念しているか」「この工事で重視するテーマは何か」を把握したうえで、創意工夫に反映させることも大切です。

騒音・事故防止・環境保全など、発注者が重点を置きたいポイントに沿った創意工夫ができれば、工事成績評定での加点が期待できます。

ICT・新技術の積極活用

創意工夫においては、ICT施工やドローン測量、NETIS登録技術などを活用し、生産性と施工精度の向上を図る視点も必要です。国土交通省では、「i-Construction」をさらに推進し、生産性向上の好事例を横展開することを目的として、2017年から「インフラDX大賞」を設けています。

「インフラDX大賞」では、デジタル技術を活用した建設プロセスの高度化・効率化および働き方改革につながった事例を表彰していることから、今後も建設現場のICT活用による創意工夫は高い評価を得ると考えられます。

生産性向上を意識する

工事の生産性向上の考え方も、創意工夫においては欠かせません。国土交通省では2018年から、建設会社による創意工夫を評価する「生産性向上チャレンジ工事」を推進してきました。そのさらなる拡大を目的に、2020年には制度を改正し、現在も積極的な取り組みを続けています。

生産性向上チャレンジ工事では、受注者は施工計画書を通して生産性向上につながる内容を提案し、その取り組みの実施状況・効果に基づいて工事成績評定で加点される仕組みです。新技術の活用はもちろん、施工手順の工夫といった創意工夫も評価されます。

また人員削減や時間短縮といった定量的な効果を示すと成績評定で評価点の加点対象となるため、数値的な成果が見込める生産性向上の取り組みを行うことが重要です。

まずは小さな取り組みからスタートする

創意工夫では、大きな変革を目指すというよりは、普段の作業の延長線上でできる小さな取り組みが評価につながります。例えば、現場周辺の道路の補修やごみ拾い、資材配置の工夫による周辺の視界確保など、小さな改善を積み重ねることが重要です。


創意工夫がもたらす効果

創意工夫は、単純に成績評定での点数アップにつながるだけではなく、建設現場の運営を向上させるというメリットもあります。ここでは、創意工夫がもたらす良い効果についてまとめます。

成績評定の加点により、入札で有利になる

創意工夫が工事成績評定の加点評価につながることはここまで述べてきた通りですが、国土交通省では毎年、施工や成果が優れた工事に対して「優良工事等表彰」を実施しています。この表彰は施工プロセスや出来形などが優れていたことを証明するもので、受賞歴を持つ建設会社は次回の入札で有利になります。

表彰においては「工事成績評定で80点以上が一つの目安」とされるケースが多くあります。一般的な平均点が70点から75点程度とされる中で、さらなる得点の上積みを図るためには創意工夫の取り組みが不可欠です。

そのため、創意工夫を通して企業が持つ技術力・高い安全意識・生産性と品質向上への取り組みをアピールすることが重要なのです。

工事の安全性と品質が向上する

建設現場では、高所作業や重機による作業など、危険を伴う工程が多く存在します。そこで、作業動線の見直しによる接触事故の防止や注意喚起表示の工夫を行うことで、安全性向上につながります。

また、創意工夫は施工品質の面でも大きな効果を発揮します。施工手順を見直したり、独自の補助工具を活用したりすることで、作業のばらつきを減らして安定した品質を確保することができます。

これらの改善の積み重ねが、最終的には構造物の長期的な耐久性や施工精度の向上、さらには現場の安全性の向上につながります。

生産性アップやコスト最適化につながる

作業工程の合理化やICT機器などの新技術活用を創意工夫に組み込むと、工期短縮や無駄なコストの削減に貢献します。作業工程の見直しによる待機時間の削減、資材配置の工夫による移動距離の短縮、仮設設備の改善による作業効率の向上などは、比較的すぐに取り組める創意工夫の方法です。

近年では、ドローンや3D測量などの新技術を取り入れた創意工夫も増えています。ICT技術を活用することで、測量や施工管理の精度を高めながら、作業時間を短縮することが可能となります。

工期短縮や作業効率の向上が実現すれば、結果としてコスト削減にもつながります。公共工事では限られた予算で最大の成果を出すことが求められるため、生産性向上に貢献する創意工夫は非常に重要な要素といえるでしょう。

人手不足解消や働き方改革への貢献

近年の建設業界では、高齢化や若手人材の不足が大きな課題となっているため、限られた人員でも現場を効率的に運営し、質の高い工事を実現する仕組みづくりが求められています。そこで注目されているのが、AIやデジタルツールを活用した省力化です。

例えば、データ共有ツールによる情報管理の効率化を図れば、帳票作成やデータのやりとりが簡素化され、従来は多くの時間を要していた事務作業を削減することも期待できます。

このような取り組みが広がれば、長時間労働の予防をはじめとする建設業界の働き方改善・イメージ向上につながり、将来的な人材確保にも良い影響をもたらします。

社会的信頼向上と環境保護

創意工夫を通して地域の清掃活動や住民の安全確保、環境保全などを行うことで、企業のイメージアップや顧客満足度の向上につながることが期待できます。世界的にカーボンニュートラルの気運が高まる中では、建設業界においても環境を守る取り組みが求められています。

コンクリート二次製品などの環境にやさしい資材の利用や、周辺の河川・山林・畑といった自然環境に悪影響を及ぼす要素の排除など、工事が周辺環境に与える変化にまで気を配った対応が重要です。


公共工事の創意工夫を行う際の注意点

創意工夫イメージ図04

公共工事の創意工夫では、以下のような注意点があります。

コスト面・効率面でバランスの良い取り組みをする
都道府県によって評価基準が異なる場合がある
創意工夫の内容を論理的に文書化する

それぞれ詳しく解説します。

コスト面・効率面でバランスの良い取り組みをする

公共工事は限られた予算と期限の中で進行するため、創意工夫にそれほど予算を割けない現場も数多くあります。ただし、コストを安くしようと考えるあまり、効率が損なわれてしまっては意味がありません。両者のバランスを意識した判断を行うことが大切です。

各現場で少しずつ取り組みを積み重ねながら、定期的なコスト面・効率面の見直しと改善を行うことで、バランス良く効果的な創意工夫が実現できます。

都道府県によって評価基準が異なる場合がある

創意工夫は何でも取り組めばいいというものではありません。都道府県によって評価基準が異なり、明確に「評価しない」とされているものもあるため、注意が必要です。例えば、浜松市では創意工夫の判定について、以下のものは評価しないと公表しています。あらかじめ各自治体の方針を確認しましょう。


1.標準仕様書等で実施すべきと記載しているもの
 ・過積載防止の工夫(ダンプ等に積載ライン及び自重計の設置など)
 ・社内パトロール、安全パトロールの実施
 ・安全教育訓練、安全衛生教育訓練の実施 など

2.創意工夫等として妥当でないもの
 ・非計画的又は狭小範囲の工事現場周辺清掃
 ・反社会的勢力の排除
 ・足場養生シートや仮囲い等で自社のPRをしているもの など

3.一般的に採用されているもの
 ・スリム看板及び高輝度看板の使用
 ・坂道での工事車両への輪止めの設置
 ・感染症対策 など

出典:【お知らせ】営繕工事における創意工夫等について(静岡県浜松市)
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/documents/9346/20250627.pdf


創意工夫の内容を論理的に文書化する

創意工夫として優れた取り組みを行っていても、その内容や効果が適切に伝わらなければ評価につながらない場合があります。そのため、創意工夫の取り組みを施工報告書で報告する際には、誰が読んでも理解できるように情報を整理して文書に記載します。その際に重要なのは、以下の4つのポイントをおさえて整理する方法です。

①背景

まず、その現場が置かれている状況や前提条件を説明します。地形条件や施工環境、工期、周辺環境など、創意工夫が必要となった背景を整理することで、読み手が状況を理解しやすくなります。

②現状

次に、工夫を行う前の作業状況や従来の方法を説明します。例えば「従来の施工方法では作業時間が長くなる」「作業員の安全確保が難しい」など、現場の実態を具体的に示します。

③課題

特に問題となっているポイントについて、改善すべき課題を記載します。「作業時間を短縮する必要がある」「作業員の安全性を高める必要がある」というように、解決すべき目標を設定します。

④解決策(創意工夫)

最後に、③で挙げた課題に対してどのような創意工夫を実施したのかを説明します。施工方法の変更や、独自の装置・補助工具の開発と使用、ICT技術の導入など、取り組みの内容をわかりやすく記述しましょう。

創意工夫の効果をより伝わりやすくするには、数値や比較データを示すのも有効です。「作業時間が30%短縮した」「作業人員を2名削減できた」などの数値的な成果を示すと説得力が高まり、工事成績評定の評価につながります。


創意工夫に寄与する当社の事例とシステム紹介

計測ネットサービスでは、創意工夫に寄与する複数の商品があります。その中で現場に取り入れやすい5つの商品をご紹介します。

【事例紹介】ICT活用によるH形鋼打設精度の見える化

パイルナビクラウド-H画像

創意工夫考査項目:生産性向上/品質/新技術活用
製品名:パイルナビクラウド-H

「パイルナビクラウド-H」は、H形鋼杭打設において、杭の打設位置や傾きを算出・表示できるシステムです。トータルステーションを使ってH形鋼側面の上下1点ずつを計測し、位置のズレ・倒れを打設中に確認できます。

相村建設株式会社様では、橋脚補修工事において「パイルナビクラウド-H」を導入しました。従来は感覚的だった打設位置のズレをリアルタイムで数値化・視覚化することにより、精度管理の強化と作業効率化・施工品質向上につながりました。


【システム紹介】スマートフォンでクレーンの離隔管理

スマート3Dバリアイメージ

創意工夫考査項目:安全衛生
製品名:スマート3Dバリア

「スマート3Dバリア」は、GNSSを利用してクレーン先端の位置を取得し、スマートフォンでエリアとの距離・位置関係をリアルタイムで表示するシステムです。エリアを簡単に設定できるため、測量スキルに依存しない簡単な運用が可能です。

現場担当者の負担を軽減することはもちろん、接近時には専用の警告灯でお知らせし、安全意識を高める工夫が施されています。低コストで導入できることから、建設現場の創意工夫にもおすすめのシステムです。


【システム紹介】近接建物への影響監視を計測

モバイルダムシスイメージ画像
イラスト:モバイルダムシス 計測イメージ

創意工夫考査項目:安全衛生/新技術活用
製品名:ワイモス、モバイルダムシス

一度に複数箇所の沈下・隆起を24時間自動で計測できる「ワイモス」と、トータルステーションの据え付けから計測開始までを簡略化できる「モバイルダムシス」は、いずれも計測にかかる手間の削減に貢献するシステムです。

東急建設株式会社様は、護岸改良工事に「モバイルダムシス」を導入し、護岸の変位と打設したシートパイルが動いていないかを監視しました。従来であれば一測点に対して2人の作業員が必要だったところを、システム導入によって1人で計測が完了でき、省人化に貢献しました。


【システム紹介】山留傾斜計測

チルトウォッチャーイメージ画像
イラスト:チルトウォッチャー 計測イメージ

創意工夫考査項目:安全衛生/新技術活用
製品名:チルトウォッチャー、K-Cloud

「チルトウォッチャー」は、傾斜センサーによって山留め施工後の変位を24時間・自動・無人で監視するシステムです。また現場の状況に合わせて幅広い傾斜の計測が可能です。
傾斜センサーは小型・電池式・無線のため、測点での配線作業が不要。測量機を使わないため、見通し条件に左右されません。設置場所の自由度が高く、複数断面の設置も容易です。
※制御BOXにはデータ送信用PCおよびネットワーク機器を収納しています。設置場所にAC100V電源をご用意ください。)

計測統合クラウドサービス「K-Cloud」と組み合わせることで、WEBブラウザでのデータ閲覧も可能です。グラフや帳票出力にも対応しており、事務作業を軽減できます。


【システム紹介】コンクリート出来形管理

コテプリイメージ画像

創意工夫考査項目:品質/新技術活用
製品名:コテプリ

「コテプリ」は、コンクリート打設において、施工精度の向上と天端出し作業の軽減をサポートするシステムです。トンボやコテ、計測用ポールなどに360°プリズムを取り付け、自動追尾トータルステーションで3次元座標を取得することにより、リアルタイムで高さ計算を行います。設計値との差分を確認しながらの作業が可能となり、コンクリート打設の品質が向上します。


まとめ

公共工事における創意工夫は、工事成績評定の加点につながるだけでなく、安全性向上・生産性改善・品質確保・働き方改革など、建設現場全体の価値を高める重要な取り組みです。創意工夫をしっかりと評価に結びつけるためには、現場の特性を理解したうえで適切な取り組みを行うことに加え、その効果を論理的に整理して文書化することも欠かせません。

今後、建設業界では人手不足や働き方改革など、様々な課題への対応が求められます。その中で、ICTやデジタル技術を活用した創意工夫はますます重要となるでしょう。まずは現場の課題を整理し、小さな改善から継続的に取り組むことが大切です。

創意工夫を積み重ねることで、より安全で効率的な建設現場となり、企業の技術力や信頼性の向上にもつながっていきます。

更新日: 2026年3月24日

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